【姉妹施設のご案内】貝塚市の登録有形文化財「つなぐ古民家」

大阪・市阿倍野区にある寺西家阿倍野長屋は、近代長屋として全国で初めて国の登録有形文化財に登録された建築物です。築90年を超える長屋の歴史、建築的特徴、再生プロジェクトについてご紹介します。

長屋は、町家(主屋)と向かい合って建っています。昭和の初めから、このまちの移ろいを静かに見守ってきた二つの建物。そこには、長い歳月を経てきたものだけが持つ、柔らかな時間が流れています。
私たちが願うのは、この懐かしい風景を、ありのままの姿で次の世代へ手渡すこと。建物に刻まれた記憶や、ここで生まれる人との縁を大切に紡ぎながら。これからも、この場所と共に穏やかに歩んでいければと思います。

寺西家阿倍野長屋・町家
寺西 興一

大阪・市阿倍野区阪南町。大阪メトロ御堂筋線昭和町駅からすぐの地に、約90年の歳月を超えて残る四軒長屋があります。

長屋とは何か?:動画解説「秩序から混沌へ」が語る、大阪・阪南町の戦前と現在

「長屋とは何か?」という問いに、登録文化財・寺西家長屋の歴史を通して考えます。長屋建築がそのほとんどを占めた戦前の阪南町は、様式が統一された「秩序ある景観」でした。しかし、戦後の社会変化に応じ個々の建替え等が進むにつれて、街並みは「混沌とした姿」へと変わっていきました。寺西家長屋は、そのような変遷の中で、建築当時の姿に大切に保存された登録文化財です。本動画を通じて、長屋が都市の景観に果たした役割と、街の歴史の移り変わりを感じてみてください。

寺西家長屋の歴史と価値

昭和初期、同じ土地に建てられた二つの建築。
これらが対となって残されたことで、かつての大阪の街区景観が今に伝わっています。

寺西家を構成する二つの建築

主屋
寺西家住宅(主屋)
1926年(大正15年)建設
戸建住宅(主屋)

当時流行していた洋式の応接間やプライバシーを重視した中廊下を持つ、大正期の先進的な住宅様式でした。

長屋の向かいに建ち、家主が住まう「邸宅」として、長屋と対になる関係で昭和町の歴史的景観を形成しています。

国登録有形文化財 長屋とセットで、街の歴史を立体的に伝える
長屋
寺西家阿倍野長屋
阪南区画整理事業完了後の1932年(昭和7年)建設
四軒長屋

4つの住戸が連なる形式でした。棟の中央に防火壁で区切られ、各戸が塀で囲われ、独立した玄関と庭を持つ「塀型長屋」です。

当時としては、給排水設備や電気設備に加え、先進的な都市ガスが通り、ガス風呂、ガス台などの台所などの設備を完備し、豊かな暮らしができる住まいとして建てられました。

近代長屋初の国登録有形文化財 大阪市都市景観建築賞(市長賞)受賞
二つの建物の位置関係

長屋の構造的特徴

寺西家阿倍野長屋の配置構造
裏・汲み取り道(奥)
坪庭
玄関
坪庭
玄関
坪庭
玄関
坪庭
玄関
▼ 表通り
寺西家阿倍野長屋 見取り図

各住戸は、床下から天井裏まで壁で仕切られており、防火および遮音に配慮されています。
建物中央には防火壁が設けられ、4戸の長屋全体を二つのブロックに分けています。各戸には坪庭と独立した玄関があり、プライバシーと快適性が両立した構成になっています。

01

木造2階建構造

1階は居間を中心とした生活空間、2階は寝室や収納として使用。入母屋造の瓦屋根が、昭和初期の様式を今に伝えています。

02

防火・遮音に配慮した構造

各住戸は、床下から天井裏まで壁で区切られており、防火と遮音に配慮された構造になっています。さらに建物中央に防火壁が設けられ、長屋全体を二つのブロックに分けることで、火災時の延焼リスクを抑える工夫が見られます。

03

汲み取り道

裏手(図の上部)から外へ出られる「汲み取り道」は、大阪の長屋特有の生活動線。メンテナンスやゴミ出しなど、生活に欠かせない通路でした。

04

坪庭と採光

各戸の背面側(奥)には坪庭が配置され、自然光と通風を確保。狭い敷地でも快適な住環境を実現する工夫が随所に見られます。

05

妻入の玄関と塀式長屋

通り側(図の下部)に各戸ごとに妻入の玄関部を設け、門・前庭・塀を伴う構えを持っています。長屋形式としては「塀式長屋」に分類され、連棟でありながら独立性と格式を感じさせる顔立ちが特徴です。

06

近代的な設備

都市ガス、風呂、台所など、当時としては先進的な設備を完備。一般的な貸家というよりも、豊かな暮らしができる長屋として計画されたことがうかがえます。

登録文化財としての価値

1932
建設年

昭和7年(1932年)建設の木造2階建で、約90年以上の歴史を持ち、戦前の大阪の住宅様式を今に伝えています。

構造
四軒長屋

4つの住戸が壁を共有しながら横に連なる四軒長屋です。各戸が独立した玄関と庭を持ち、通りに対して整然とした長屋のファサードを形づくっています。

2003
文化財登録

平成15年(2003年)12月1日、国の登録有形文化財に登録された。そして2006年(平成17年)に大阪市都市景観建築賞(市長賞)を受賞し、その価値が認められました。近代長屋が国の登録有形文化財となった全国初の事例です。

全国初

歴史を変えた第一歩
長屋の価値を再定義

近代長屋が国の登録有形文化財となった全国初の事例です。

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